例会の報告
Meeting report第1560回例会
2025年9月3日No.1535号
会長時間

会長 武田 龍雄
皆さん こんにちは。米山奨学生のグエン・ドウオン・ハイ君、ようこそいらっしゃいました。とうぞ最後まで、ごゆっくりお過ごしください。
本日は、お忙しい中、また暑い中広島陵北ロータリークラフの例会に、 2025-2026年度国際ロータリー2710地区ガバナー土肥慎二郎様、カバナー随行幹事織田真澄様、グルーフ6 ガバナー補佐佐伯正道様、グループ6のカバナー補佐幹事大方幸一郎様にご出席いただき、有り難うごさいます。最後まで、よろしくお願いいたします。また、例会終了後のクラフフォーラムにつきましても、引き続きよろしくお願いいたします。
さて、今月9月は、基本的教育と識字率向上月間、ロータリーの友月間となっております。世界には読み書きのできない15歳以上の人が7億7500万人、学校に通っていない子ともは6700万人いると言われております。これらの地域で基本的な教育を提供し、識字率を向上させることで、貨困の削減、健康状態の改善、地域社会と経済の発展、平和の構築に繋がると考えられており、地域社会が自力で学校を支え、教育における性差別を減らし、成人の識字率を高められるように支援することが、ロータリーの目標とされており、学校の建設、教師の育成、教材・制服・靴の提供などの活動が、実施されているようです。
昨年、吉田前会長の提案で始めたわがクラフの、ベトナムの子供たちへの教育資材の寄贈もこの目的に沿ったものであり、今年も継続実施したいと考えております。
話が変わって、9月は、別名「長月」とも言われております。旧暦の9月は、秋の最後の月とされていて、日中でも少しすつ風に 涼しさが感じられるようになり、秋がだいぶ深まって来ますが、秋が深まると日が暮れるのが早くなるため、夜が長い月という「夜長月」が略されて、「長月」になったと言われています。なお、ほかにも「寝覚月」、「稲刈月」、「紅葉月」などの別名があるようです。
本日はこの後、カバナー土肥様にお話をしていただきますので、よろしくお願いいたします。以上を持ちまして、会長時間とさせていただきます
35年連続100%出席表彰
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喜寿のお祝い
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誕生会員スピーチ
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米山奨学金贈呈
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入会式
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ガバナー公式訪問

国際ロータリー2710地区ガバナー土肥慎二郎様
皆さん、こんにちは。本年度ガバナーを務めます、東広島21RCの土肥慎二郎です。今日は、私の31回目の公式訪問になります。広島陵北RCは1990年9月12日に広島北RCをスポンサーとして創立されたと聞いております。今年、創立35周年を迎えられますこと、誠におめでとうございます。その創立時のRI会長は、ブラジルから3人目のRI会長であったパウロ・コスタさんでした。テーマは「ロータリーを高めよ」です。そして創立時の二宮会長は「心豊かなロータリアンを目指すクラブにしたい」と抱負を述べられ現在もその心は変わっていないとお聞きしております。
さて、今年度より国際ロータリーは、RI会長のテーマを廃止しました。理由は簡単です。2017年に発表したロータリーのビジョン声明とそれを実現するためのロータリーの行動計画がなかなかクラブに浸透しないからです。 最近のRI会長のテーマを並べてみました。2022-23年度 森中会長 ジェニファー イマジン・ロータリー
2023-24年度 髙野会長 ゴードン 世界に希望を生み出そう
2024-25年度 吉田会長 ステファニー ロータリーのマジック
このように、RI会長が毎年違うテーマを出され、それに則ってクラブを運営する、これではいつまでたっても「ロータリーのビジョン声明」が浸透するはずがないのです。2000年ごろより、世界のロータリアンの数は減り続けています。そして毎年16万人が入会して、17万人がやめている、しかもそのうちの2万人は入会3年未満の会員である、このような現実があります。これに危機感を覚えた国際ロータリーは、組織に問題があるのでは…と考えました。そして全会員からアンケートを取り、専門家の意見も取り入れ、今後ロータリーという組織がどのような組織になったらいいのかを謳ったのがこの声明です。「私たちは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で持続可能な良い変化を生むために、人々が手を取りあって行動する世界を目指しています。」わたしは、この声明のポイントは2点あると思います。ロータリアンが手を取り合って行動すればもっと素晴らしいことが出来る、これが1点,そしてもう1点は「自分自身の中で」、これが私は一番重要なポイントだと思っています。札幌東RCに塚原さんというパストガバナーがおられるのですが、次のように言っておられます。「ロータリーは困っている人を助けてあげることだと思いがちですが、実際は助けられているのは自分の方かもしれません」 みなさんどう思われるでしょうか?そしてこのビジョンを実現するために「ロータリーの行動計画」が発表されました。この行動計画は4つの優先項目からなっています。「より大きなインパクトをもたらす」これだけを読みますと、多くの人はポリオの根絶をはじめとする規模の大きいプロジェクトを想像されるのではないかと思います。そして「クラブ単独でそんなに大きなことは出来ないよ」そのように思われる方もおられるかもしれません。ところが、ここでいうインパクトとは規模や成果の大きさを表しているのではありません。ロータリーの行動計画でいうインパクトとは、そのプロジェクトが、いかにその人たちの人生を変えたか?ということです。昨年度国際ロータリーのアーチック会長は、ダイエットを例にしてこのように言われました。ダイエットにおいては、体重が何キロ減ったのか?というのが大切なのではありません。いかに健康になったか?ということが大切なのです。そのように考えますと、我々ロータリアンが行なう地元の地域社会への様々な活動は、どれもが、意義深い、インパクトのあるものになり得ると思います。職業奉仕、これは私たち職業人にとって最も実践しやすい奉仕であることは明らかです。そして地域社会が本当に望んでいる奉仕活動に取り組むことも大切でしょう。青少年へのスポーツ支援や日本に住んでいる外国人を対象とした奉仕活動などもいいと思います。米山奨学生や財団奨学生、インターアクト、ライラ、青少年交換、それらもすべて、何かしら人の人生を変えるきっかけとなり得るプログラムだと思います。と同時に、私たちは同じ志を持った、世界中120万人とつながったネットワークですので、ロータリー財団を通じての大規模なプロジェクトにも目を向ける必要があります。これは寄付、という形で、私たちは、いつでも自発的に行うことが出来ます。皆様方の善意をいただけましたら幸いです。続いて「参加者の基盤を広げる」ですが、これはその名の通り会員を増やすことです。今年の国際協議会でもマリオ会長エレクトをはじめ多くの演者が会員増強の大切さを訴えました。「従来の昼の例会に出席できない人を参加させるにはどうしたらいいですか?」「皆さんの地域にはどんな方がいますか?伝統的なクラブに入るのは無理だとしても、ロータリーの奉仕には興味を持っている人がいるかもしれませんよ。どうしますか?」このような問いかけがなされました。これは、いわゆるクラブ運営方法の柔軟性、例えば、例会の時間とか回数を、会員のニーズに合わせて変更すことを指すのでしょう。それから、衛星クラブやパスポートクラブなど新しいタイプのクラブも考えてみてください、ということなのでしょう。これらを取り入れるかどうかはクラブ次第ですが、今、国際ロータリーはこんなことを考えております。そして「参加者の積極的なかかわりを促す」 「適応力を高める」これは、会員増強にもつながる話しだと思いますが、要は「会員がクラブに何を求めているか?」ということを真剣に考えなければならない、という事だと思います。ロータリーって組織は結構アンケートが好きで、あちこちでアンケートをとっています。会員がロータリーに求めるものとして、国によって違いがあるそうです。日本においては最も多かったのが「親睦」でした。それがアメリカでは「倫理観」です。世界全体でみると「情報の透明化」これが最も求められていることのことでした。それから日本のロータリアンに「あなたにとってロータリークラブの価値とは何ですか?」と聞いてみたそうです。皆さんはどう答えますか?一番多かったのが「自己研鑽、学習、成長」だったそうです。2番目は「地域社会への貢献」 3番目は「生涯の友人、そして魅力的な仲間」だったそうです。それから年齢別での傾向として、若い会員は「人脈が広がる、とか、事業の機会がアップする」これを求めているのに対して、比較的高齢の会員さんは「生涯の友人、魅力的な仲間」これを求めている傾向があったようです。世代間のギャップということを考えるうえで、参考になるかもしれません。それからDEI、ロータリーでは、会員一人一人にとって、居心地がよく、帰属意識が持てるクラブ運営が何より重要だと考えております。これらを推進するために、前年度の会長エレクトだったブラジルのマリオさんは「よいことのために手を取りあおう」というメッセージを発表しました。現在、ロシアとウクライナが戦争をしています。イスラエルとハマスもそうです。アメリカと中国とで世界の覇権争いをしています。このような、分断されがちな昨今において、「一緒に手を取りあって、いいことをしましょう!」そういったシンプルかつ力強いメッセージだと思います。ところが、就任直前にその職を辞されました。理由ははっきりしませんでしたが、相当のことがあったのでしょう。そして、新しい会長としてイタリアのフランチェスコ・アレッツォさんが就任されました。継続性、というものを重視するRI理事会はメッセージの変更をしなかったのですが、私は新会長からのメッセージをいただいたときには大変驚きました。前任者のマリオさんは何が何でも「会員増強」、その重要性を述べられました。ところがアレッツォ会長は、「会員同士の信頼と友情」、それが大切だと言っています。そして、「変革とは戦略から始まるものではなく、一人ひとりの人格や接し方から始まる」、そのように言っています。そして、ロータリーは私たちを変えてくれます。そのために「よいことのために手を取りあおう」 そういうメッセージをあらためて投げかけられました。
さて話は変わりますが、ロータリーが誕生して今年で120年が経過しております。ロータリーを作った人は、ポールハリスという青年弁護士でした。アメリカのシカゴという街で、弁護士事務所を構えて商売は繁盛していました。しかしながら弁護を依頼してくる人は、私利私欲のために嘘をつく人ばかりだったので、そんな人ばかりを相手にしているのが寂しくなったそうです。そこで業種の違う人たちを集めて社交クラブを作りました。会場を一定にせず、場所を変えて例会を開いたのでロータリーと名づけられました。ロータリークラブに集まる人は、事業家や職業人なので、話題は商売の話が中心になります。しかしながら一業種一人なので競争がなく、会員は他人とは思えないくらいに仲が良くなり、お互いの恥を平気で話し合って、困ったことは相談しあう、慰めあう、進んでお互いを助け合うそのような親睦が生まれました。さらには会員同士の利益を目的としての商業取引も行われるようになったそうです。当時の定款には、クラブの目的は「会員の親睦と事業拡大の増進」と書いてあったそうです。しかしある日、この定款を見たある人がこのように言いました。「こんな仲間だけのことを考えているだけのクラブは長続きしませんよ。会員以外の人たち、そして地域社会に役に立つことをした方がいいでしょう。それなら私も喜んで入会しますよ」そのように言ったそうです。これを聞いたポールハリスは定款に「シカゴ市の最大の利益を図り、市民として忠誠を尽くす」という一文を追加しています。そしてクラブが最初に行った活動が、シカゴ市への公衆便所設置運動でした。当時のシカゴにはお客さん用のトイレが、百貨店もしくはバーくらいにしかなかったそうです。そこで、トイレを使いたい通行人は、百貨店で何かを買うか、バーで一杯ビールを飲む必要がありました。そこでシカゴクラブは、抵抗する団体を抑えて市内2か所に公衆便所を設置しました。そのおかげで多くの市民が安心してトイレを使うことが可能になったわけです。このようにロータリーの最初の奉仕活動は、単に金銭を渡すだけではなく、市民生活に影響を与えるような、いわゆる地域社会に「インパクトをもたらす」活動だったのでした。奉仕、サービスという言葉を最初にロータリーに持ち込んだのは、シェルドンという人です。経営学者であった彼は次のように唱えました。自分の事業が発展するためには、自分のもうけを優先するのではなく、まずお客さんのことを考えてください。そして、その得られた利益は自分が独占するのではなく、従業員や取引に関係する人たちと適正に再配分すること、そうすることで最終的には継続的な事業の発展につながることになります。これを「最もよく奉仕するもの、最も多く報われる」という言葉で表現しました。この職業奉仕を実践することによって、ロータリーの会員の職場は活気を取り戻して、成功者も多くなり、ロータリアンは信念を持つことが出来ました。そして「利他の心」をもって行動することは、単に職業を成功させるだけではなく、社会をも良くする、のちに「超我の奉仕」という言葉が生まれました。この2つの言葉をロータリーでは「奉仕の理念」と呼んでおります。これが初期のロータリーの歴史ですが、この「奉仕の理念」を実践しようとしたロータリアンを紹介いたします。それはカーネル・サンダースさん、皆さんご存じのケンタッキー・フライド・チキンの創業者です。1920年、29歳の時に、アメリカ、インディアナ州のロータリークラブに入会しています。そこで「他の人に最高のサービスをする人が、最も利益を得る人だ」ということを学びます。そして、その後ケンタッキー州にうつり、ガソリン・スタンドの経営を始めました。当時のケンタッキー州は道路が舗装されておらず、車はどれも埃まみれで走っていたそうです。そこでサンダースさんは、車が店に来ると、まず車の窓を洗うことにしました。そして、ラジエーターの水やタイヤを点検して、最後に「ガソリン入れましょうか?」と聞いたそうです。当時そういうサービスはほとんど無かったようですが、彼は、道を聞くためだけに店に入ってきたお客さんにもそのようにしたそうで、これが評判となり店は繁盛しました。それでも、なおサンダースさんは「来る人にもっと喜んでもらえること」を常に考えていました。ある日、お客さんのほとんどがおなかを減らしていることに気づきます。「車にガソリンが必要なように、お客さんにはおいしい食事が必要だ」そのように考えました。そして「サンダース・カフェ」という、たった6席しかない、小さなレストランを併設しました。元々、彼は料理が上手だったそうです。なぜかというと6歳の時に父親を病気で失い、働きに出ていた母親の代わりに小さい弟と妹の面倒を見ていたからです。料理の方法や味付けのコツを子供のころより母親から学んで、家族のために料理を作っていました。そして単に料理が上手なだけではなく「人が喜ぶ料理を真心を込めて作る」という信念を持っていました。シェフの仕事から洗い場、レジ係を一人でこなし、店には「おいしくなかったらお代は結構です」とまで書いてあったそうです。特にフライド・チキンは人気があり、それが美味しいということで店は繁盛したそうです。さらに人に喜ばれるために考えたのがモーテルでした。「旅行者は安心して心地よく泊まれるところを探している」ということで店のそばにモーテルを作りました。また仕事以外でも、他人に喜ばれることが生きがいだったサンダースさんは、街の孤児院をたずね、恵まれない境遇の子供たちにアイスクリームやお菓子の提供をしています。特にクリスマスの日にはターキーを料理して毎年のように訪問していたそうです。サンダースさんが救ったのは子供だけではありません。アルコール中毒患者の更生にも積極的に取り組んでいます。時にはアルコールを絶たせるために自分のモーテルを使わせたこともあったそうです。こういった功績から44歳の時、ケンタッキー州知事から、カーネル 、陸軍大佐の名誉称号を受けました。このように「一生懸命働き」そして「人の喜ぶことを真心を込めてした」サンダースさんですが、良いことばかりではありませんでした。49歳の時、レストランが火事で全焼してしまいます。また65歳の時には、近くに高速道路が出来たために店の客さんが減り、店が破産してしまいます。たくさんの奉仕をしたにもかかわらず、報われなかったのでした。さて彼はどうしたでしょうか?このまま年金生活になる方法もありましたが、最後まで一生懸命働くことを選択しました。彼にはフライド・チキンが残っていました。評判の良かったフライド・チキン、その作り方に改良を加えました。そして圧力釜を用いて、彼にしかできないフライド・チキンを完成させました。そしてそれをレストランで提供するのではなく、作り方だけを教えて、各レストランのメニューとして出してもらう、そしてチキン1ピースにつき数セントのロイヤリティーをもらう、というまさにフランチャイズ契約のはじまりともいえる事業を始めました。最初はなかなか契約が取れなかったそうですが、彼にはチキンへの絶対的な自信がありました。1軒一軒店を回って根気よく説明し、納得の話し合いが出来れば契約したそうです。時には自分からパスする店もありました。調理場が清潔でない店や、サービスの行き届いていない店とは契約しませんでした。そこで用いた原則が、次のことです。そのビジネスに嘘偽りはないか?
そのビジネスは関係するすべての人に公平なものか?
そのビジネスは良好な人間関係を作っていくものか?
そのビジネスは関係するすべての人にとって有益なものか?
どこかで聞いたことがあるテストです。こうして1年間で7つの店と契約を結び、すべての店が大繁盛します。すると今度は店のほうからサンダースさんへ連絡が来るようになり、4年後にはアメリカで200店舗、さらに5年後には600店舗となり、アメリカ最大のフランチャイズレストランとなりました。こうして65歳の時にすべてを失った人が、ケンタッキー州で最も有名な人といわれるまでになりました。彼は晩年のインタビューで「あなたが得たもので一番うれしかったことは何ですか?」と聞かれた時に「孤児院の子供たちが私をサンタクロースのように慕ってくれたことです」と答えています。先日、この、世界で最も有名なロータリアンと2ショットを撮りました。彼の胸には私と同じロータリーの徽章がついていました。みなさんもケンタッキー・フライド・チキンに行ったときは見てみてください。さて話は変わりますが、8年前、私は広島陵北RCに大変お世話になりました。それは何かと言いますと、私の所属する東広島21RCでは、2003年から南米ボリビアでの水頭症治療支援事業を行っていましたが、2017年に、ロータリー財団設立100周年事業として2710地区の複数のクラブが合同でグローバル補助金を申請して、この事業を継続していただけることになりました。当時の古谷会長、そして小川財団委員長には大変お世話になりました。すいぶん遅くはなりましたが、皆様方に感謝を申し上げ、この事業の内容について少し話をさせていただきたいと思います。水頭症の患者さんです。このような子供がボリビアでは1000人中3人くらいの割合で生まれるそうです。日本でも統計上は1万人に3人くらいの割合で生まれるそうですが、このように幼児期まで放置された典型的な水頭症の患者さんはあまり見かけなくなっています。その原因として、ボリビアの医師は、水の問題など衛生面に原因があると考えているようです。頭のCT写真です。右が正常なのですが、左の写真のように水頭症の患者さんの場合、黒く写っている脳室というところに髄液という水が異常にたまっています。これにより、脳が圧迫されていろいろな症状が出るのが水頭症という病気です。その水頭症の治療に、シャント手術というものがあります。それは、頭の中の髄液をカテーテル通しておなかに吸収させる手術です。左の絵のように、頭からおなかまでチューブでつないで水を流すのですが、その水が逆流しないようにする弁(バルブ)が必要になります。このバルブは米国産ですが、ひとつ370ドルします。ボリビアは世界最貧困国のひとつですので、この事業を始めたころの労働者の平均月収は100ドル以下でした。ほとんどの人はこんなに高いものは買えません。ボリビアでは意外なことに5歳未満の子供と65歳以上は医療費がかかりません。医者も看護師も十分足りています。足りないものは医療材料、お金のない人はそのために治療が受けられないということになっています。そこでロータリーがこれを援助しようということになりました。ここで気付く方もおられるかと思いますが、ロータリーの奉仕活動は物品を与えるだけではダメだとよく言われます。魚をあげるのではなく、魚の取り方を教えるのがロータリーだと聞かされてきました。バルブをあげるだけではダメなんじゃないか?という疑問が生じます。そこで実施国側のロータリアンはこのようなことをやっています。地域住民への水頭症の啓蒙活動 病院との連携・患者の審査バルブの引き渡し そして、効果の判定です。このプロジェクトを始めたころのボリビアでは水頭症という病気を知らない人が多くいました知らないから子供を病院に連れてこない、治療が出来ない、いつまでたっても水頭症が減らない、このような状況でした。この大人の人は長谷川幸雄さんという日本人です。福島県出身のボリビアのロータリアンです。隣で笑っているのは水頭症の子供ですが、この後ろに座っているこどもの親は、「うちの子供はきっと優秀な子になるに違いないわ。だって、こんなに頭がおおきいんだから」そのように言ったそうです。この出来事が、水頭症治療へ取り組むきっかけになったそうです。そこで、まずこの病気のことを地域住民に伝えることをしました。左側は空港に向かう道路に置いた巨大な看板です。ここには、「子供1000人のうち、3人は水頭症です。ロータリーが治療するので連絡して。」と書いてあります。右のポスターには、ボリビアと日本のRCがこの活動をしています。と書かれています。これを学校や官庁、病院に張って、新聞広告を出して住民にこの病気を周知する活動をしました。次に患者の審査を行います。患者は申請書を記入してロータリークラブないしは病院に提出します。その書類はすべてロータリークラブのメンバーが目を通して確認します。貧困層であること、手術適応が正しいかどうかも判断します。素人にはできませんが、ロータリーメンバーの中に脳外科の先生がおられます。そうして条件を満たしていれば、バルブを購入して病院に直接手渡します。この写真は、16年前に私がボリビアに最初に訪問した時の写真です。それから、効果の判定ですが、これが一番厄介です。日本であれば、手術をしたあとは症状に変わりがなくても定期的に通院して問題がないかを医師が判断します。ところがボリビアではそうはいきません。ほとんどの人がギリギリの生活をしていますので、治療が終わればわざわざ病院になど来ないからです。困った時にだけ病院へ来るので、良くなったのか、あるいは亡くなったのかそういう治療成績の判定は難しいそうです。とはいえ、手術が終わった患者さんの聞き取り調査もしていました。先ほどの長谷川さんですが、医者でもなんでもないのですが、病室に行って、患者さんに手術前と後の症状の違いを聞いています。この患者さんは、34歳の女性です。頭痛が頑固でどこに行っても治らなかったのが、手術後に良くなったそうです。子供だけでなく、こういう症例もあるようです。さらには術後のCTも確認しているのには驚きました。左が手術前、右が手術後です。脳室が小さくなっています。こんなことを医者でもないロータリアンがやって、さらにどこの誰ともわからぬ日本人に見せている、日本でやったら大騒ぎになると思います。地区でご賛同をいただいたクラブの一覧です。20ものクラブにご賛同を頂きました。全21クラブ現金の合計が34000ドル、地区活動資金と国際財団活動基金をあわせ164000ドルという大きなものになりました。財団の仕組みは分かりにくいのですが、要は2710地区のロータリアンの皆様の寄付のおかげで、クラブの支出は少ないけれども大きな事業が出来た、ということです。この大きなお土産と共に、2回目のボリビア訪問を行いました。ボリビアは南米大陸の真ん中にあり、乗り継ぎを入れると飛行機で40時間かかります。首都ラパスの町です。この町は、下から見るとすり鉢のような形をしています。酸素の関係か、大体は、上に行くほど貧しい人が住んでいます。上の方は標高約4000mで下から上までの高低差は約500メートルあります。上のほうの家です。地震でも来ればすぐに崩れ落ちそうで、窓が無い家も少なくありません。その反面、下の富裕層の町にはこんな豪邸に住んでいる人もいます。貧富の差は、想像以上でした。これは標準的な公立病院です。病棟に子供が入院していました。このようにほとんどのベッドは錆びています。手術後の患者さんが入る、一応集中治療室です。酸素ボンベも錆びています。別の病院です。ドイツ資本の入った私立の病院です。ここには、シーメンス製の立派なCT装置がありました。このように、病院によって設備が異なり、収入によって受けられる治療が違っているのが現状です。合同申請の少し後に、水頭症バルブ1000個記念セレモニーが行われました。そして、このボリビアへのバルブ支援事業は今でも継続しています。ではいったい、いつまでやるのでしょうか?むしろ水頭症を無くすような活動をするべきなのではないでしょうか?そもそも、何でボリビアなの?このような疑問に対して私は答えを持っておりません。これは、最初に行った時の写真です。ラパスの上の方で、エルアルトと呼ばれるところです。主に貧困層の方が住んでいます。それが2回目に行った時にはこのようになり、人の数も車の数も増えています。家もずいぶんカラフルになりました。さらにはロープウェーが整備されて、以前は歩いて500m下の町に稼ぎに行ってた人も、これに乗ることができます。1回36円で乗れます。ボリビアの一人当たりのGDPの推移です。このように、ボリビアでは少しずつ経済的にも豊かになっており、ひょっとしたら今後は、水頭症が他の国のレベルにまで減少する可能性はあると思います。しかしながら、今現在、この国にはバルブが必要な人がいます。このように笑って過ごせる方ばかりではありません。そして、ボリビアは子供が大変多い国です。14歳以下の子供が全人口の60%を占めています。しかし乳幼児の死亡率は高く、最近改善されたとはいえ20人に1人は5歳までに死んでしまうそうです。今後のボリビアの発展を願うとともに、この活動が少しでもこの国に役に立っていることを嬉しく思います。そしてこれは、東日本大震災が起こったときにボリビアから送られてきた小切手です。2293ドル、この水頭症治療のお礼ということで、地区大会で集められ、日本に送られてきました。青臭いことを言うようですが、こういう小さいことが世界中で起これば、ロータリーの目指す世界平和に少しでも近づくのではないかと思います。そして、この事業が出来たのはすべて、財団に寄付してくださった2710地区のひとりひとりのロータリアンのおかげです。あらためてお礼を申し上げたいと思います。最後のスライドです。「よいことのために手を取りあおう」広島陵北ロータリークラブの今後のますますのご発展を祈念して話を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
フォーラム
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ニコニコBOX
SMILE BOX
- 国際ロータリー2710地区ガバナー土肥慎二郎様
- お志をいただいております。ありがとうございます。
- 国際ロータリー2710地区グループ6ガバナー補佐佐伯正道様
- お志をいただいております。ありがとうございます。
- 武田龍雄会員 井上進会員 平岡栄作会員 龍山永明会員
- 本日は土肥ガバナーをはじめ織田随行幹事、佐伯ガバナー補佐、大方ガバナー補佐幹事よろしくお願い致します。
- 小川嘉彦会員
- 土肥ガバナー本日はご指導よろしくお願いします、。
- 龍山永明会員 鈴木大次郎会員 大場常幸会員 森川和彦会員
- 10月4日に在広RC音楽祭が開催されます。チケット代金からチャリティー募金をしますので皆さんご協力をお願いします。
- 前田啓太郎会員
- ネクタイを忘れてしまいました。
- 当日計
- 63,000円
- 累計
- 229,000円
9月12日のプログラム
台北松山RCとの野球観戦夜間例会
9月13日のプログラム
創立35周年記念夜間例会
出席報告
(例会運営委員会)
9月3日出席者
- 会員総数45名
- 出席会員37名
- 欠席会員8名
- ご来賓4名
- ゲスト1名
来客者紹介
(親睦家族委員会)
9月3日出席者
- 国際ロータリー第2710地区 随行幹事 織田 真澄様
- 国際ロータリー第2710地区グループ6ガバナー補佐 佐伯 正道様
- グループ6ガバナー補佐幹事 大方幸一郎 様
- 米山奨学生 グエン・ドゥオン・ハイ君
幹事報告(平岡栄作)
・本日例会終了後13時40分より土肥ガバナー様をお迎えしてのフォーラムを3階「音戸の間」にて開催いたします。
資料一式を全員に配布しておりますのでご確認下さい。フォーラム終了後に「宮島の間」にて集合写真を撮影しますのでご移動ください。
・次回の例会は9月12日(金)台北松山RCとの野球観戦夜間例会となります。先日お渡ししていますチケットを忘れずにご出席ください。
・ロータリーの友9月号を配布しております。
・9月ロータリーレートが本日発表されました。会費請求書を本日投函します。通常例会が本日のみですのでお振込くださいますようお願いいたします。