例会の報告

公益財団法人 広島県男女共同参画財団 常務理事　棚多里美様

アンガーマネジメントというと、怒らない人になる？という誤解がありますが、「怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになる。」その線引きができて、怒りで後悔しないことです。

怒りの感情には５つの性質があります。①高いところから低いところへ流れる、②身近な対象にほど強くなる、③矛先を固定できない、④伝染しやすいといったマイナスの作用がありますが、プラスの役割もあります。それは、⑤怒りは、達成する、変革する、新たなものを創出するといった、エネルギーになるということです。“怒りを活かす”というポジティブな方向に持っていく心理テクニック、それがアンガーマネジメントです。

怒りにはメカニズムがあります。一つ目は、怒りは第二次感情ですので、突然湧いてくるわけではなく、必ずその前にネガティブな第一次感情があるということです。不安、嫌だ、苦しい、つらい、虚しい、心配、悲しいという気持ちや、罪悪感、後悔などは根が深い気持ちで、表に出ていないけれど、実はわかってもらいたいと思っている第一次感情があります。二つ目は、私たちを怒らせるものの正体は、自分の外にあるのではなく、自分の中にあるということです。私たちは〇〇すべきといった自分の中に理想とする“べき”を持っています。自分にとっては正しい“べき”を持っていますので、その“べき”が目の前で裏切られたとき、怒りが湧いてきます。三つ目は、ある出来事があると、自分の経験の中で意味づけを行いますので、同じ出来事であっても、楽しいと感じる人も腹立たしいと感じる人もいるということです。

このため、怒って後悔しないためには、頭の中で怒る必要があるかないかの線引きを行う必要があります。自分と“べき”が同じであれば全く怒る必要がない、自分とはちょっと違うけどまあ許せるという許容範囲であればこれも怒る必要がない、けれど許せないという場合、これはむしろ怒る必要があります。そして「怒る必要がある」に入ったときは、相手がプラスの意味づけを行うよう、相手へのリクエストを具体的に上手に伝える、これがポイントとなります。