例会の報告

山田和弘会長　伊藤 弘幸幹事

山田和弘会長

若き日の中国古典思想研究家の田口佳史氏が松下幸之助氏に、経営者として必要な条件。なくてはならないものは何ですか？とたずねると「運が強いことかなぁ」と答えられました。

では運を強くするには？と立て続けにたずねると、

「そりゃ、徳を積むことよ」と間髪入れずに答えられたそうです。

徳は身を潤すと言います。徳を積むとは一体どういったことでしょう。徳とは相手の気持ちをしっかり見すえて（人間学）自己の最善を他者に尽くしきること。

仏教では根本思想に「因果応報」があります。

「積善の家に余慶あり」という言葉のように、善い事を

積み重ねると、不思議と通常より、自分に・自分の廻りに、喜び事おめでたい事がありますよ。ということでしょうか。

ロータリーではHe profits most who serves the best

奉仕・サービスを誰よりもたくさんされた方は必ず報われる。とあります。

しかし吉凶は、慶び事・幸せ事も、不幸・わざわい事も「あざなえる縄の如し」であり、片方だけと言うことはありませんが、慶び事、幸せ事が少し多い方がいいですよね。

ではどのように徳を積んで運を強くできるのでしょうか？

運を強くする一つの方法は、相手の気持ちをしっかり見すえての（人間学）「惜福であり、分福であり、植福である。」と思います。

これは明治の文豪で、幸田露伴が唱えていました。

この方は初代文化勲章受章者であり、東京帝国大学の当時の総長から１００年に１人の秀才と言われたそうです。

まず『分福』とは文字通り福を分ける。紹介者やお世話になった方へ、得た福を分配するという意味です。そうすることで、多くの協力者が集まり寄って来てくれます。

また、『植福』とは育てるという意味で、お弟子や生徒を育てていく。次世代の活躍（学者・研究者）によって、

結果、自分に福が廻ってくるという意味です。例えば、

自分の基礎研究から弟子が新薬を開発した。自分の指導で弟子が金メダルを取得したなどです。

そして、『惜福』とは文字通り福を「惜しむ」事で、

すべてを享受せず、後に残しておく。

花でも実でも十二分に咲かせ実らせば、眺めがよく収穫も多いであろう。しかし、花や実を十二分に咲かせ実らせば、木は疲れてしまう。

七、八分なら花も実も豊かで、なおかつ木も疲れない。

そうすれば来年も花が咲き、実が残る。

例えば武田信玄は、戦勝は五分をもって「上」、七分をもって「中」、十分をもって「下」と賞しました。なぜなら五分は励みを生じ、七分は怠りを生じ、十分は驕りを生ずるがゆえにです。勝ち過ぎない（惜福）ことが軍勢の強さを保つ「きも」なのです。

『惜福』とは、倹約やりんしょく（物おしみ）でなく、

将来の運命に貯けおき、積みおくこと。

将来の幸運を引き寄せる原資であり、将来の幸運を育てる原資なのです。

皆さん『惜福』・『分福』・『植福』の徳を実践して、幸運を引き寄せてください。運を強くしてください。

今日は『惜福』・『分福』・『植福』のお話をさせていただきました。